町がわかる!基本用語解説
●「ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)」を正しく理解していますか?(2015.12.24)
一億総活躍国民会議の菊池桃子委員が首相に提言したことで「ソーシャルインクルージョン」という言葉に再び関心が集まっています。日本語では「社会的包摂」と訳されていますが、なかなか意味が伝わりにくい言葉ではないでしょうか。
「ソーシャルインクルージョンと社会起業の役割」
(2004年12月 ぎょうせい/炭谷茂、大山博、細内信孝編著)
*社会的包摂については、2010年12月発行の細内信孝著『新版コミュニティ・ビジネス』学芸出版社の164~170ページも併せて参照されたし。
12年前から細内校長らが上梓したこれらの本の中では、
ソーシャルインクルージョンを「共に生きる社会」として定義しています。
では、「共に生きる社会」とは、具体的にどのような社会づくりなのでしょうか。
例えば、栃木県足利市にあるココ・ファーム・ワイナリーという農園では、ワイナリーの活動を知的障がい者と一緒に行っています。すごいところは、どんな障がいのある方にも、その人の状態やその人のできること、得意とすることに合わせた働き方を用意しているところです。
日本の社会では、いまだに毎日朝から夕方まで働きに行く、という形式の仕事が一般的であり、そこに適合しない人々(子育て中の女性や障がい者、まだ働く意欲のある高齢者など)への配慮が足りない側面が見受けられます。
どのような方でも社会参加ができる、ひいては賃金をもらい納税者になる。どんな人も地域社会に受け入れられ、そのコミュイティの中でいきいきと活躍するための環境づくりが必要と考えます。
☆有限会社ココ・ファーム・ワイナリーの創業者やワイン醸造師たちと談笑
私たちが提唱しているコミュニティ・ビジネスという概念の中では、
「地域で生かされないもの(人)を極力出さない」という点をとても大切にしています。つまり、ソーシャルインクルーションはコミュニティ・ビジネスの根幹に流れる考え方です。
過去に細内校長が視察したイギリスでは、障がい者だけでなく、非行にはしる若者たちの就労の場としてソーシャルインクルージョンの視点に基づき、仕事づくりが行われていました。
(参考記事:http://www.cbn.jp/lock/NL/CBNLvol17/CBNLvol17.asp)
社会的弱者も仕事などを通して社会参加ができる多様性のある社会をつくるというのが、本来のソーシャルインクルージョンの意味なのです。
東日本大震災からの復興を目指している東北地方でも、このソーシャルインクルージョンの視点は注目されています。2014年「被災地ホーム・カミング・デー」というイベントの中で「被災地で仕事を立ち上げる、やってんべ精神でコミュニティ・ビジネスをはじめよう!」と題して細内校長が基調講演と起業ワークショップを行ったことがあります(イベントのチラシ 講演のレジュメ)。
(参考記事:http://cbhakase.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-d0bf.html)